Interview  

中村博久(金羊社)

ビジネスに“費用対効果”とは別の尺度を
2010.12.28

CDやDVD、ゲームソフト等のジャケットやパッケージの印刷を手がけている金羊社では3年前から、音楽ソフトのジャケットのすばらしさに着目した展覧会「Music Jacket Gallery」を後援している。アートの視点を通じてビジネスや世の中の仕組みを考えるきっかけを与えてくれる同展の試みについて、運営スタッフの中村博久氏に話を聞いた。

ミュージックジャケットギャラリー常設展」を開催している金羊社本社ギャラリーにて。

―2010年のMusic Jacket Gallery展の概略を教えてください。

今回もレコードメーカー各社やFM局等の地元メディアの協力を得て、4月24日~6月29日に全国5都市(福岡、名古屋、大阪、東京、札幌)で開催しました。テーマは“音楽ジャケットだらけのアート展”。昨年の“ラブ&ピース”、一昨年の“ファッション&ミュージック”と比べても、より原点に返って、エンターテイメントソフトのジャケットやパッケージデザインが備えている“アート性”に着目することになりました。

―反響はいかがでしたか。

前年比で1万人増の2万7千人を動員することができたのですが、LPレコードなどになじみの薄い、20代の来場者から手応えを感じることができました。会場では間近でレコードやCDのジャケットに触れていただくと共に、高音質CDの試聴など、多角的に“ミュージックジャケット”の魅力を体感していただけたのではないかと思います。

―本展の目的は?

当社は主にエンターテイメントソフトを扱っている印刷会社ですが、この展覧会では音楽とアートワークとの密接な関係を一般の方々に再認識していただくことを通じて、レコード産業活性化の一助になればという思いで継続しています。さらに全国各地で開催することで地元地域の“文化発展”にも貢献したいと考えているんです。

―音楽ソフトに限らず、文化産業やメセナが転換期を迎えている現在、この展覧会が果たす役割は大きいですね。

今の世の中はややもすると商品の値段だけにしか注目が集まらない社会です。本展を通じて音楽にはミュージシャンだけでなくデザイナーをはじめ、数多くのクリエイターが関わっていることを知っていただきたいですし、アートという“費用対効果”とは別の尺度を提供したい。何より世間の人々が文化的なものに関心を持たなくなるのは悲しいことですよね。

Music Jacket Gallery 2010」展示風景(写真は福岡会場)

同社主催の「エンタテインメント パッケージ アワード」は今年で11回目を迎えた。写真は12月17日に発表された受賞作品。

大賞/齊藤友鯉子(東京モード学園グラフィック学科グラフィックデザイナー専攻)

準大賞/岩水成美(富山大学芸術文化学部デザイン情報コース)

準大賞/谷 早紀(名古屋総合デザイン専門学校グラフィックデザイン科)

中村博久
株式会社金羊社
広報/ミュージックシェルフ編集部

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