岐阜県ブランド「リミックス・ジャパン」のプロデュースを始め、日本各地の伝統・地場産業のブランディングを手がけるゼロファーストデザイン代表・佐戸川清氏。日本から世界を見据えるグローカル戦略の先駆者に、地域ブランドの未来について聞いてみた。

Photo: Yuki Akiyama
産地間コラボによって日本スタイルを世界へ
―当初から海外に向けたブランディングの可能性を感じていたのですか?
もともとは輸出が念頭にあった訳ではなく、国内マーケットに向けて“日本にもこんなに心を豊かにしてくれる道具があるんです”というメッセージを発信しようと思ったのです。
ちょうど、岐阜県の日進木工㈱とつきあいがあり、その中で当時の知事から岐阜県の伝統産業をブランド化したい、という話が持ち上がりました。岐阜県には、非常にいい伝統工芸品がたくさんあります。でも展示会などを見ても、デザインのテイストがバラバラだったんです。そこで、全体をプロデュースして、一つのスタイルを作りました。それが「リミックス・デザイン」です。
リミックスというのは、リデザイン。あるものをより良く今日的なものに置きかえるということです。例えばお碗一つとっても、最近ではコーヒーを飲んだりお茶を飲んだりと一様ではなくなった。生活の中で色彩の整合性とか使い勝手の良さとか、周りの環境との調和などを考えて今日的な状況に向けてリデザインしていく。それが第一歩でした。そのように伝統産業を通じた生活用品のプロデュースをしているうちに、日本人だけではなくて世界の人たちに見せたらどうかと発展させていきました。けれども、スタイルは一つの商品だけでは成立しない。カップがあってソーサーがあって、テーブルがあって……という風に、生活雑貨と家具と空間のエレメント、他にも様々な“物”があって。それを岐阜県産品だけでやろうとすると、それは一部にしかならないので、次は日本中のいいものを集めた様式を作りたいと思っています。
―産地間のコラボレーションというわけですね?
一つの産地のリージョナルなものではなくて、産地間の融合をやっています。例えば岐阜県は木工・陶磁器・紙・繊維が得意技。生活用品全般に広げると食器・刃物は新潟県の燕市・三条市がいいとか、竹の加工技術は京都がいいとか。それをトータルにプロデュースして、ジャパンスタイルとして海外に発信しようとしています。
今、世界中で展示会がたくさん開かれる中でも私が一番注目しているのは、パリで開催される「メゾン・エ・オブジェ」です。ここはライフスタイル・インテリアの全てのカテゴリーを持っていて、そのなかにエスニックというラインがあるのですが、我々はそこにターゲットを絞っています。外国人から見ると日本の本当にいいものは、モダンだという感覚より、むしろエキゾチックでエスニックなものと評価される場合が多いからです。
その日本的な最先端のライフスタイルを、単品ではなくてまるごと持っていくわけです。これが日本の歴史と生活文化に育まれた生活用品ですよ、そして環境に優しいですよと発信する。例えば、桐の衣裳ケースなどは非常に高価ですが、防虫効果もあって耐火性もある。着物や帯など大切なものを大切な箱の中に入れるという一つの文化や、娘が生まれたら桐の木を植えて、嫁入りの頃には十分に育った桐で箪笥を作るというような習慣が、地球全体の環境問題にとって全てプラスになる。それを説得材料にしていきたいと思っています。
佐戸川氏が岐阜県発のライフスタイル型ブランドとしてプロデュースしている「Re-mix Japan」の展示風景。2007年の「メゾン・エ・オブジェ」より。

同じく2007年の「メゾン・エ・オブジェ」展示。松沢漆器店による春慶塗のカップ&ソーサー、日進木工によるダイニングチェアなど、岐阜県の飛騨や美濃を中心にした工芸品をトータルでコーディネート。

…続きは『NODE No.3』をご覧ください
有限会社アイアンドアールシステム代表
1941年東京生まれ。81年に(株)ゼロファーストデザイン設立。現在、日本を中心にプロダクトデザイン及び商業空間、百貨店、ライフスタイルショップ等の店舗企画、VMD企画や室内環境、イベントのプロデュース等、幅広い分野で活躍。













