Interview  

竹田仁(Takeda Contemporary Art)

コンテンポラリーの魅力を真摯に伝えるモダニスト
2010.7.29

アートに人生を賭ける、そんな言葉がぴったりなアートディーラーがいる。今回、紹介する竹田仁氏は銀座の老舗・日動画廊に19年間在籍し、オールドマスターと共にコンテンポラリーアートの市場開拓に努め、2年前に退社。昨年1月にアートオフィスを設立し、これまでに培ってきた審美眼を活かして、新たな展開を見せている。

不易が流行を
流行が不易を動かす

竹田氏は理想のアートについて「洗練され、余計な装飾が削ぎ落とされたシンプルなもの。普遍的な作品は、謎解きカノンのように鑑賞者に多様な解釈の余地を与えてくれます」と説明し、バッハの対位法のフーガや松尾芭蕉の不易流行を例に挙げてくれた。
「いつまでも変化しない本質的なものを忘れず、新たな変化を重ねているものを取り入れること。新味を求めて変化を重ねていく流行性こそが不易の本質であること。不易が流行を、流行が不易を動かす……、優れたアートとはすべからく、そういうものかもしれません」

そんな竹田氏に影響を与えたアーティストが、中国系アメリカ人の建築家、マヤ・リンだ。ワシントンの「ベトナム戦没者慰霊碑」で一躍脚光を浴びた彼女は、国のアイデンティティやジャンルにとらわれない、スケールの大きな作風で、社会的なメッセージを発信し続けている。
「彼女の建築作品は、コンセプトが一貫していて、宇宙的な調和を持って自然と人を融合させている。人々の記憶や時間をシンプルなアートに置き換えて大地に還すって、まさしくエコでしょう?」

これまでのキャリアを通して“本物”を探し続け、様々な人々に提案してきた竹田氏だが、ここ数年はフラットでフェアな環境に身を置き、アートと人との関係を見つめ直すようになったという。

「コンテンポラリーアートは、訳のわからない謎々を次々に出してくるスフィンクスのように映りがちだけど、純粋に思索の産物であって、抽象的な一種の創造ゲームなんです。昨今は、お金に換えづらいような未知の領域に価値観を委ねることが少なくなってきています。知らない世界のリスクばかりみて、アートそのものが伝えようとするメッセージや美を見落としがちなのは実にもったいないことです。
また一方でネーミングだけで選別することも、美術に対する楽しみを半減させているのでは?現在は、今まで以上に“リスクや心配は自分が買って、お客様はアートへの安心感を得る”ようなアプローチを心がけています」

良質のアートを追い求めつつ、それをいかにお客様に伝えられるか。これからも竹田氏のユニークな取り組みによって、より良いかたちで作品の魅力が引き出され、アートシーンに反映されていくに違いない。

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