Recommend  

『RUHR.2010(ルール2010)』”緑と文化”の一大拠点に変貌を遂げたドイツ重工業地帯

2010.5.13

「欧州文化首都」という言葉から何を思い浮かべるだろうか。これは欧州連合(EU)加盟国間の文化の相互理解を目的に1985年に設けられた制度で、現在では世界各国とも連携して取り組まれているもの。昨年はリンツ(オーストリア)とヴィリニュス(リトアニア)、2010年はルール地方(ドイツ)、イスタンブール(トルコ)、ペーチ(ハンガリー)が選定され、それぞれの独自性を活かした催しを展開している。

今年の3都市・地域のなかで、開催エリアの規模もさることながら、そのテーマ性で注目したいのがルール地方だ。19世紀以来、ドイツの産業の拠点として発展してきた同地域は1980年代以降、環境問題を意識するかたちで変革を遂げ、それまでの石炭や鉄鋼「欧といった重工業中心の産業がハイテクや環境技術を含む多角的な構造にシフト。これに合わせて“緑と文化”のメッセージを発信する一大拠点として大きく生まれ変わったのだ。

欧州文化都市選定に伴い、同地方は「Ruhr2010」と題してエリア内の53の都市が共同してプレゼンを展開している。特筆すべきは炭鉱や製鉄所、ガスタンクといった重工業施設が“アート”としてありのままに保存され、現代アートや音楽、舞台芸術等の発表の場として整備されていること。もともとの建造物の美しさもさることながら、工業を芸術へと変換していく地元民の意識のあり方に驚かされる。

日本でも長崎の端島(通称“軍艦島”)や京浜工業地帯の夜景が注目されるなど、似たような動きが見られるが、その徹底ぶりにおいてルール地方は世界のなかでも群を抜いていると思われる。現地における日本人アーティストの活躍も含めて、大いに楽しめそうなプロジェクトだ。

写真はデュースブルク北のランドスケープパーク。製鉄所が芸術、スポーツ等の文化施設に生まれ変わった。
©GNTB/Kruger, Torsten

※「Ruhr2010」など、ドイツ関連のカルチャー情報を紹介するInterFMのラジオ番組『I LOVE GERMANY!』(『GLOBAL SATELLITE』内)が月~金の12:15からオンエア中。

「Ruhr2010」エリア内関連イベント
エムシャークンスト2010
会期/5月29日~9月5日
参加アーティスト/リタ・マクブライド、イェッペ・ハイン、トビアス・レーベルガー、川俣正、ほか
ルール地方を流れるエムシャー川流域にて開催される「Ruhr 2010」最大のアートプロジェクト。国際的に活躍する40名ものアーティストが出展。川俣正の特別展「outdoor」は6~9月、レックリングハウゼン市芸術ホールにて開催予定。

巨大アートオブジェ「タイガー&タートル/マジックマウンテン」
2010年秋にデュースブルクのアンガー公園に完成する、ジェットコースターのような外観の巨大オブジェ。

オラフ・メッツェル作品展
会期/2010年秋~
会場/デュースブルク・キュッパースミューレ現代美術館

関連リンク

NODE on sale